日本では一度は麻疹(はしか)の排除状態がWHOに認定されましたが、近年、再び感染者数が増加し、再流行の兆しが見えています。「麻疹は日本で排除できるのか」をテーマに、本記事では最新の麻疹感染者数とその推移、地域別の流行状況、再流行の原因、さらに政府や自治体が講じている対応策を検証します。日本が再び麻疹を完全に排除するためには、予防接種の徹底とともに、個人の意識向上や政府および自治体の迅速かつ効果的な対応が不可欠であると結論づけます。
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麻疹感染者数が再び増加傾向にある
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都市部を中心に感染が広がっている
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ワクチン接種率低下や海外からの感染が主な原因
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政府・自治体はワクチン推奨や感染拡大防止策を強化
麻疹は日本で排除されるのか
- 最新の麻疹感染者数と推移
- 地域別の流行状況
- 流行の原因
- 政府および自治体の対応策
最新の麻疹感染者数と推移
画像作成:筆者
日本では2024年、麻疹(はしか)の感染者数が暫定値で45例に達しました。前年の28例を大きく上回っており、麻疹の再流行が懸念されています。さらに、2025年に入ってからもすでに9例の感染報告があり、感染が持続的に発生している状況です。
厚生労働省の報告によると、新型コロナウイルス感染症の流行による海外渡航制限で、2020~2022年は年間10例以下と感染者数が大幅に減少していました。しかし、2023年以降、海外渡航の再開に伴って感染者数が再び増加に転じています。実際、2023年には28例の感染が報告されましたが、2024年にはその約1.6倍に増加しており、麻疹排除後で最多となっています。
特に、新型コロナウイルス感染症による医療機関の受診控えや接種延期が影響し、予防接種(MRワクチン)の接種率が低下しました。これに伴い、麻疹に対する集団免疫が不十分な状況が続いています。2021年度には、定期接種の接種率が過去最低の93%台まで低下しました。2022年度には多少回復しましたが、依然として全国の多くの地域で目標値の95%を下回っています。このような状況が感染リスクを高め、感染者数増加の要因となっています。
一方、感染経路についても注目されています。2024年の感染者45例のうち少なくとも半数以上が海外渡航歴を有しており、その多くが帰国後に国内で発症しています。特に特定の航空機内で複数の感染者が報告されるなど、航空機や空港を介した感染拡大の可能性が指摘されています。
麻疹の流行を抑えるためには、引き続きワクチン接種率の向上と、感染経路を迅速に特定して封じ込める体制を強化する必要があります。厚生労働省は感染者の迅速な特定と接触者への啓発を行うとともに、海外渡航者に対するワクチン接種の徹底を呼びかけています。
地域別の流行状況
画像作成:筆者
2024年の麻疹感染は、東京都を中心として岐阜県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県など都市部に集中しています。特に東京や大阪など大都市圏では複数のクラスターが形成され、一つの航空便で複数の感染者が報告されるケースもありました。
東京都だけでも10例以上の感染報告があり、愛知県や大阪府でも感染が散見されています。感染地域は限定的で大規模な流行には至っていませんが、都市間の人の移動が盛んな地域での感染拡大が懸念されています。
流行の原因
麻疹流行の主な原因としては以下の3点が挙げられます。
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新型コロナウイルス流行に伴うMRワクチン接種率の低下
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海外からのウイルス持ち込みによる感染事例の増加
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世界的な麻疹流行の影響
特にコロナ禍では定期接種であるMRワクチンの接種率が低下し、2021年度には接種率が95%を下回りました。このことが集団免疫の低下を引き起こし、感染リスクが高まっています。実際、2024年の感染者の多くはMRワクチンの2回接種が完了していないことが報告されています。
また、2023年以降の国際的な渡航再開により、海外で感染した旅行者が麻疹ウイルスを国内に持ち込むケースが増えています。WHOによれば、世界的にも麻疹が再流行しており、英国や米国などでのアウトブレイクも報告されています。こうした状況が日本国内にも影響を与えていると考えられています。
政府および自治体の対応策
麻疹再流行に対し、日本政府や各自治体は以下のような対応策を強化しています。
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MRワクチンの定期接種推奨の強化と接種率向上のための啓発活動
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感染症法に基づく全数把握と迅速な疫学調査の実施
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海外渡航者に対する検疫措置と注意喚起の強化
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感染拡大防止のための医療機関における感染管理の徹底(マスク着用、個室隔離など)
厚生労働省は、MRワクチンの接種を期限内に完了するよう積極的に呼びかけ、特に小学校入学前や海外渡航予定者には接種状況の確認を強く推奨しています。また、感染が疑われる症状がある人は公共交通機関の使用を避け、早期に医療機関へ連絡した上で適切な検査や診療を受けることを呼びかけています。
さらに政府は、感染者が確認された際に迅速な情報共有を行い、感染者と接触した可能性のある人々に早期に通知する仕組みを強化しています。また、医療従事者に対しては感染対策研修の実施を拡充し、適切な防護具の使用方法や患者隔離の方法など、感染拡大防止のための教育を徹底しています。
自治体レベルでは、地域ごとの感染リスクに応じた柔軟な対応が求められており、感染が確認された地域においては特に重点的に予防接種の啓発活動が行われています。学校や保育園、企業などと連携し、集団生活を送る場での感染防止策を強化しています。
今後、日本で麻疹が再び排除されるかどうかは、こうした予防接種の徹底と政府・自治体・個人の連携による感染防止策の徹底にかかっています。個人としても、感染防止への意識を高め、最新情報を積極的に取得し、自らの予防策を徹底することが求められています。
再流行する麻疹、日本が完全排除するための具体的な課題と解決法:総括
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本で麻疹の再流行が起きている
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2024年には前年より感染者数が急増
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東京や大阪など都市部でクラスター発生
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MRワクチン接種率の低下が集団免疫低下を招いた
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海外からの麻疹ウイルス持ち込みが増加
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世界的な流行も日本への影響を与えている
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政府はワクチン接種を積極的に推奨
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感染者の早期特定と疫学調査を迅速化
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医療機関での感染管理体制を強化
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日本で再び麻疹を排除するには予防接種の徹底と個人の意識向上が重要